空白の翻訳

by 1031jp

2014-02-08

雪だるまを一体も見なかった日のこと。

 

午前5時。

支度を済ませ、空っぽの胃に熱いカフェオレを流しこむ。

シャンボードの紐をきつく締める。ひとつ大きく息を吐いてドアを開き、

まだ何者にも侵されていない雪を遠慮なく踏みしめながら、急ぎ駅へと向かう。

 

ソールにデザインされた「PR」の文字が新雪に刻まれていく。

一歩ごとに足許からの感触や音が心地良い。

目深に被ったニット帽の中に押し込んだイヤホンからは、11のとても悲しい歌。

この場面で選ぶ音楽は他に無いだろう。

 

 

午前10時。

横殴りに降り続いている。ここではいつものラジオ局にチューン・インする。

この時間はレゲエのミュージック・ミックスを流している。

冬に聴くレゲエが好きだ。アイスクリームも。

 

 

午後12時。

吹雪は未だ止まず、ギシギシと雪が鳴る音が聞こえてくる。

ソチオリンピックの開幕に合わせ、愛する東京は数日の間、スケートリンクとなるのだ。

悪路や悪天候にはパラブーツ一足で充分だが、明日、くるぶしより深く埋まるようなら、

1年かけてオールソールしたDr.Martensの方が良いかも知れない。

そんなことを考えながら、雪景色の写真を使ったレコードジャケットを

いくつか眺めてから眠ることにしよう。

 

 

11のとても悲しい歌

11のとても悲しい歌