空白の翻訳

by 1031jp

トニック

数年前のクリスマスのこと、ぼくたち二人はスタジオにいた。
重たい防音扉の奥に待つ、せいぜい4畳ぐらいの窓一つない真っ黒な部屋で、
数ヵ月後に世の中に発表することになる曲たちをいじくりまわす。
深夜に及ぶ作業の合間、1年後には笑っていようぜなどと言われ、そうですねと相槌を打つ。
山盛りの灰皿(ぼくは喫わない)と、マグカップに熱いコーヒー(ぼくも飲む)。
この日に限らず何度もあった光景で、ぼくはこの時間が大好きだった。
その1年後、状況は良くならず、2年後も3年後もそのまま歯止めがかかることはなく、
それでも笑いあう場面はあっただろうし、
なにより何年も経った今でもぼくは曲や詩を書いている。今まででいちばんうまく。

さて、今年もお世話になりました。素敵なクリスマスと、そして良いお年をお迎えください。
来年も、弱りきったぼくが手を伸ばす先がなるべくギターのネックでありますように。